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幼遊戯
第9章 春休み~隆弘~
メゾネットタイプのコテージのような家がいくつか並ぶ。

これのうちの一つが俺たちの宿だ。

フロントで鍵をもらい、中に入る。

「すごーい!露天風呂ついてるよー!」

はしゃぐ遥香をよそに俺は若干憂鬱だった。

まだ時刻は夕方の4時だ。

果たして夜まで持つのかどうか……。

「ねー、まだ夕食まで時間あるんだしお風呂入ろうよー」

「……は!?」

「だめなの?夕食7時でしょ?」

いやいや、そこじゃなくて。

「もしかして体調悪いの?」

ある意味悪いとも言える。

「一緒に入りたかったのになー」

……無防備にも程がある。

窓の外から見える露天風呂を羨ましげに遥香が見つめていた。

もちろん部屋付きの露天風呂だからいつでもどこでも入りたい放題だ。

「お風呂が初めての場所になってもいいなら入ってもいいけど?」

俺の発言に遥香が俺の方に体を向けた。

「言っとくけど、俺、今めちゃめちゃ我慢してんの。本気で最後までヤッちゃうよ?」

「別にいいよ?むしろ今までの私だったらしてくれればどこでも良かったし」

「だーかーらー、そういうこと言うなって!」

俺の我慢が意味ねえみたいじゃん。

せっかくここまで頑張ってきたのに。

「じゃあもういい!私本館のお風呂入ってくる!」

「ちょっ、遥香!」

勢いよく飛び出していく遥香。

だが追いかけたとしてどうなる?

このまま夜まで我慢するのはさすがにキツい。

夕食の時間になったら戻ってくるだろう、と俺はそばにあったテレビのリモコンに手を伸ばした。


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