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幼遊戯
第7章 夏休み~隆弘~
「ねーなんでぇーわたしがおいだされなきゃいけないのぉー?」

後ろからぶつぶつ文句が聞こえてくる。

「お前が酔っぱらいだからだろ」

「えーわたし、よっぱらってないしぃー」

ったく、久々の飲み会で可愛い子お持ち帰りしようって思ってたのに結局こいつのお守りかよ。

俺は遥香の家の前で溜め息を吐いた。

「いまからあっちのいえにかえるのぉー?」

遥香が長い髪を揺らしながら首を傾げる。

白いワンピースに、ピンクの半袖のカーディガン。

小さなかごバッグを持ったその女を見て、誰が護身術に長けた奴だと思うだろうか。

華奢な腕に細い足。

見た目はか弱い女の子そのものだ。

「いや、さすがに今日は実家帰るわ」

「ふーん、じゃあまたねぇー」

遥香が家に入ったのを見て、俺も隣の家の玄関を開けた。

遥香と俺は幼馴染みというやつで、ものごころついた時にはいつもそばにいた。

その頃は別に遥香に何の感情も湧かなかったし、好きも嫌いもなかったと思う。

だけど中三の時だっただろうか。

俺と同じ高校に行きたいと遥香が言ったその日から、俺は遥香と一線を置くようになった。

理由はあまり覚えてないけれど、彼女の気持ちに気づいたからだったような気がする。

『明日隆弘くんちに行ってもいい?』

ケータイのバイブでメールの受信に気付く。

送信者はかなちゃんだ。

眼鏡っ子の巨乳ちゃんで、大人の友達の一人。

俺は遥香のことを意識的に頭の中で排除すると、かなちゃんに返信をする。


俺はあの日以来遥香に触れることができないでいた。



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