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幼遊戯
第8章 冬休み~隆弘~
遥香は酒癖は悪いが、記憶がなくなったりすることはほとんどない。

一緒に参加した飲み会の話をしても全部覚えている。

あんなふうにぼーっとすることも普段ならねえんだけどな。

俺はさりげなく二人の会話が聞こえる位置に座った。

「遥香ちゃん、じゃあそろそろ行こうか」

俺の存在に気づいたんだろうか。

挑戦者は遥香の肩を抱き寄せ、遥香の顔を覗き込む。

「んー?たかひろぉ?どこにいくのぉ?」

……俺と間違えてるし。

ったくどんだけ飲んだらそんな幻覚見えるんだか。

だが挑戦者の答えは俺の予想を遥かに超えるものだった。

「そうそう、俺が隆弘だよー。俺の家に行こうねー」

おい、コラ。

それは詐欺だろ。

挑戦者はあろうことか遥香に自分を俺だと信じこませたまま、連れ去ろうとしている。

もう我慢できねえ。

友達には悪いけどさすがにこれは黙っていられない。

そう思って立ち上がろうとした時だ。
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