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幼遊戯
第8章 冬休み~隆弘~
大通りを抜けた辺りで、俺は深いため息をついた。

これじゃあ何のために護身術を習っているのか分からない。

「たかひろぉ~、ひさしぶりにてぇ、つないだねぇ」

ふにゃふにゃした顔でそう言われ、ふと気がついた。

そう言えば俺、遥香に触れてる。

よくわかんねえけどいつの間にか克服できてたってことか?それともあまりの怒りでぶっ飛んだ?

「わたしはぁ、いなくなんないよ?」

「……は?」

「らってぇ、わたしはやさしくないもん」

「意味わかんねえ」

「たかひろいがいにはぁ、やさしくないからぁ、ほかのおとこにひっかかったりしないよぉ?」

いやいや、さっきめちゃめちゃ騙されそうになってましたけど?

「……ありがとな」

遥香が俺の母さんのことを言ってるんだとわかった。

確かに遥香は俺以外の男には手厳しい。

それは母さんのことがあったからだったんだな。

「らってぇ、たかひろにぃ、しんじてもらいたかったからぁ」

一瞬泣くかと思った。

目頭が熱くなって慌てて夜空を見上げる。

この気持ちが妹分としてなのかなんてどうでもいい。

俺は遥香が好きだと思った。

一途に俺だけを見てくれていた遥香に、応えてやりたいと思ったんだ。



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