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狙われた美人妻〜魔辱の姦計
第6章 酔い潰れた夫
 郊外の閑静な住宅地に下島の屋敷はあった。周辺も広い庭がある立派な家ばかりの高級住宅街だ。高い塀の向こうに、まるで雑木林のような森が見える下島の邸宅。そのビッタリ締められた門扉の前に、隼人と志津香はいた。

「ごめんください。本間です」

 横にあるインターフォンに向かって夫が呼びかける。ほどなく、

「はい。下島です」

 渋い男の声で応答があった。夫は同じ挨拶を繰り返す。

「いったいなんの用かね。下島君」
「あの…部長。僕は…その」

 言い淀んだ隼人にインターフォンが沈黙した。ハラハラしながら志津香は佇んでいた。これは門前払いかと本間夫婦が落胆したその時、

「暑い中を、こんなところまでわざわざ来てくれて悪かったね。入りなさい」

 思いがけない労いの言葉がインターフォンからの聞こえた。閉じていた門扉がゆっくり開いていく。

「お邪魔いたします」

 一礼した隼人が門の中へ、その後ろを志津香が続いた。
 
 玄関で出迎えた下島は和装だった。右足に松葉杖をついている。包帯で巻かれた右足が痛々しい。しかし普段は仏頂面のその顔は笑っていた。

「どうぞ。上がりなさい」
「ありがとうございます。お邪魔いたします」

 恐縮しながら靴を脱ぎ、用意されていたスリッパを履いた。先に立って長い廊下を歩き出した下島の、大柄な体のあとをついていく。そして応接間らしき部屋に通された。

「どうぞ。くつろいでください」

 革張りのソファーへ本間夫妻を座らせた下島は、

「おーい。澄子。飲み物を頼む」

 家の奥に向かって声を張った。

 澄子って…奥さんかしら。
 そういえば…。

 そこで志津香は、下島が離婚したと夫から聞いたのを思い出した。その情報を聞いたのは二年ほど前だった。
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