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誰にも言えない!
第3章 この気持ちは…?
(なんだったんだろ、今の)
熱くなった頬を
手の甲で押さえながら早足で歩く
(あのままじゃまるで‥
…キ、キス‥
いやいや!
あり得ないあり得ない‥!)
頭の中の考えを吹き飛ばすように
ぶんぶんと振りながらついには小走りになる
すると‥
「七海?」
少し前に
クラスメイトの男子が立っていた
「あ、‥よしくん」
私がよしくんと呼んだその人は
『松下芳樹』
小さな頃から仲のいい幼馴染のようなものだ
「どうしたの?こんなところで」
「いやいや、それは俺が聞きたいよ
窓からお前が頭振りながら走ってくるのが見えたから
どうしたのかと思ってこっち来てみたんだよ」
笑いながらよしくんが言う
他の人からも見えていたんだと思うと恥ずかしい
「てかお前顔赤いけど大丈夫かよ?」
「あ、大丈夫
ちょっと走ったら熱くなっちゃっただけ」
よしくんに指摘されて余計に赤くなる顔を隠しながら
なるべく普段通りに笑顔でこたえた
「そうか、それならまあいいけど
俺もう帰るから
七海も帰るなら送ってくけど?」
「あ、ほんと?
ありがと」
よしくんは私が一人になる時は
よく家まで送って行ってくれていた
「じゃあ俺下で待ってるから」
そう言ってよしくんは玄関へと向かった
物の言い方はぶっきらぼうだけど
よしくんは思いやりがあるし
優しくて頼れるいい人だ