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彼女はボクに発情しない
第11章 眠れぬ夜の間奏曲
今日の優子とのデートのときも、奏の事ばかりを考えていた。

この店に奏が来たら、何を手に取るかな?
奏だったら、何を食べたいというだろう?
奏は、きっと映画にあれこれツッコミ入れながらみるんだろうな・・・。
一緒に花火を見上げたかった。
きっと、浴衣がよく似合うだろうな・・・。

優子には申し訳ないことをした。

花火が上る直前。彼女は目を閉じて顔を近づけてきた。それまでの優子との会話の中で、ふわふわと魔法にかかったような感じになっていたから、何もなければ、そのままキスをしてしまっていただろう。

でも、そこで、ボクのスマホが鳴ったのだ。
奏のピアノの時間が迫っているという合図だ。行き帰りは常に『発情』の危険があるので、注意するためにアラームをセットしてあった。

「行かなくちゃ」

キスの直前でボクは優子に言った。
優子は可愛らしいし、決して嫌いじゃないけれど、やっぱり、ボクは奏が大事だから。

守らなきゃいけないから。

「ごめん・・・」

ボクは駅に向かって駆け出した。事情は説明できないし、説明してもきっと優子にいやな思いをさせるだけだ。

好きだと言ってくれたのに。きっと、勇気を出したのだろうに。

ごめんなさい。本当に、ごめんなさい。
許されるわけないけど、心のなかでは何度も謝った。

自宅の最寄りについた。時間はすでにレッスンが終わっている頃だった。この時間なら、多分まだ道を歩いているはずだ。ボクは彼女が教室に通ういつもの道を走り回り、探した。見つかって、何もなければ良し、もし、『発情』していたら、助けなければいけない。

走って、走って、走った。
それしか出来ないからなあ・・・。ボクは。

奏みたいに頭良くないし、別に金持ちなわけでもない。
スポーツ万能なわけでも、すっごく強いわけでもない。

ただ、いつでも奏のもとに行かれるように、最速で行かれるように。

足だけは、自信があるんだ。

そして、ボクは、『発情』した奏を見つけた。
ちゃんと、見つけることが出来た。
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