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彼女はボクに発情しない
第17章 恋敵協奏曲
☆☆☆
夏期講習4日めのことだった。
終わったので、帰ろうと荷物をまとめていると、笹本さんが声をかけてきた。

「四宮さん・・・あの、ちょっとお話が」

なんとなく、覚悟を決めてきたような、思い詰めたような表情をしている。
なんだろう。陽太とのことがあるので、ドキドキしてしまう。

教室の後ろの方に移動した。この教室は次にすぐ使う予定がないらしく、生徒が新しく入ってくることはなかった。周囲にあまり人がいないのを確認して、彼女が口を開いた。

「あの・・・ええと・・・。四宮さんは、どうして高山くんとお付き合いしているのを内緒にしているんですか?」

一瞬、理解が追いつかずに頭が真っ白になる。

え?まず、私と陽太が付き合っているって?
つき・・・あってはいないんだけど・・・。
なんと答えたらいいのだろう。ここで「付き合っていない」と言えば、それは真実だが、「じゃあ、私がお付き合いしてもいいんですね」とか言われたらどうしよう。

そして、「付き合ってるわよ」と言えば、それは嘘になる。私は陽太の気持を確かめたわけではない。
だいたい、どうして笹本さんは私と陽太が付き合っていると思ったんだろう?

答えに窮して押し黙ってしまう。

「付き合っているのを知らなくて・・・あんなに深い仲だったなんて・・・。だから、私・・・奪い取ろうとか、そうじゃなくて、私は・・・高山くんのことが好きで、フリーだと思ったから・・・あの、だから、その・・・嫌な気持ちになったらごめんなさい」

深々と頭を下げる。
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