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彼女はボクに発情しない
第18章 誘惑のポルカ
☆☆☆
「ちょっと・・・接近し過ぎじゃない?優子ちゃん・・・?」
「奏さんこそ、わざと顔を近づけていましたよね?」

陽太と別れて予備校の二階、わたしたちの教室に向かう最中、思わず私は優子ちゃんに声をかけてしまう。

「その、リップ・・・反則・・・」
「下準備ですよ♪昨日、買ったんです。似合います?」
ニッコリと笑う優子ちゃん。大人しそうな顔をしていて、意外と侮れない。今日はリップに合わせて薄く化粧もしているようだ。普段より、可愛らしい。髪の毛もバレない程度に艷やかに見せるようにしている。

「胸を押し付けるのとか・・・うう・・・ずるい」
私にはできない芸当である。
「不可抗力ですもん。偶然です!それに、奏さんだって、手がぶつかるほど近いじゃないですか」
バチバチと見えない火花が飛び散るのがわかる。
教室で、前後の席に座りつつ、お互い顔を見合わせながら授業が始まるまでこんな感じである。これがここ毎日の私と優子ちゃんの日課みたいになっている。

例の勝負の約束をしてからというもの、笹本優子ちゃんはグイグイと陽太に接近するようになってきた。朝、駅前で待ち構え、一緒に行こうとする。その時も隙あらば陽太にアプローチをしてくる。
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