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彼女はボクに発情しない
第19章 キスに焦がれる輪唱曲
☆☆☆
映画を見た後、なんとなくショッピングモールや街をブラブラしていたら、暗くなってきた。

ぴょんと、噴水のヘリに優子が飛び上がって登る。
「月が出てきたよ」

彼女が見ている方向を見ると、夕焼け空に三日月がかかっていた。月のそばには宵の明星だろうか、明るい星が輝いている。

そろそろ帰る時間、みたいな雰囲気になっている。
彼女もそれが分かっているのか、ちょっと名残惜しそうだ。
今日一日、散々ドキドキさせられっぱなしだったし、ボクも名残惜しい。

「ちょっと、高い所に行きたいなぁ」
優子が言うので、このあたりで一番高いビルに登った。

商業ビルの最上階。展望台のようになっていて、見下ろすと宵闇に沈んだ街がまるで星空のようだった。
「綺麗だね」
ふっと優子がボクの顔を見る。
なにか言いたげにするが、すぐに目を伏せてしまった。

彼女はしばらく黙っていたが、不意に顔を上げた。
「陽太くん・・・。一度だけでいいの・・・私を抱きしめて」
びっくりして硬直した僕の返事を待たず、そのまま身体に手を回してきた。柔らかな身体がボクに押し付けられるように密着する。
彼女の心臓の鼓動が伝わってくる。
おずおずと、ボクも彼女の身体に手を回した。抱きしめるって・・・こんな感じ?
ボクより身長が少し低い彼女の頭を抱えこむようにする。熱い吐息がTシャツ越しに肌に染み込んでくる。

優子が少しだけ、顔を横に動かして、ささやき声で言った。
「明日、奏さんとデートに行っても・・・また、私とこうして一緒にお出かけしてくれますか?」
少し身体が震えていた。

「陽太くんが、まだフリーなら、私は・・・私は・・・陽太くんの彼女になりたいです」

カッカと頭に血が上る。女の子にこんなに直接的に告白されたのは、生まれて初めてだった。硬直してしまう。

奏・・・そうだ・・・奏・・・。
ボクは、奏が好きだ。でも、だけど・・・。

今日、ボクは、奏の事を思い出さなかった。

自分の気持ちがよくわからない。
そのまま、ボクは優子の温かい身体を抱きしめ続けてしまった。
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