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彼女はボクに発情しない
第19章 キスに焦がれる輪唱曲
☆☆☆
ふわんとしたベージュのスカートは透けるような素材と二枚重ねになっていて、腰のところをリボンでゆるく結んである。トップスは黒に近い紺で、肩が出ている長い袖のピッタリした服だった。金色のボタンがアクセントになっていて、大人可愛く、そして清楚可憐という言葉がぴったりだ。
小さめの紺のバックを持ち、靴は白っぽいヒールの低いパンプスだ。

か・・・可愛い。
激烈にキレイ、そして麗しい。
世界中の美辞麗句を総動員しても、この感動を表すことなどできないのではないだろうかと思うほどだった。

ダメだ、好きだ。やっぱり。
さっきまでうだうだ考えていたことが全てぶっ飛んだ。

好きだ。奏。

そう思ってから、何て自分はいい加減な男なんだろう、と心の中で頭を抱えた。
優子ちゃんに迫られては、『優子ちゃん、いいかも』と思い、奏をひと目見ては『奏、大好き!』と。

ああ・・・ダメだ・・・ボクってやつは最低だ・・・。
こういうのをなんていうんだったっけ?
優柔不断?
意志薄弱?
四面楚歌?

しかし、僕の心に渦巻く思いをよそに、目の前の女神は天上のほほ笑みを浮かべる。
「行こう!陽太!!久しぶりに楽しもう♪」

ま・・・眩しいっす・・・。
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