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彼女はボクに発情しない
第19章 キスに焦がれる輪唱曲
「わ・・・私・・・あの・・・えっと・・・」
ギュッとペットボトルを握りしめて、奏がもじもじとする。
何か、心なしか顔が赤い。

「ど、どうしたの?奏?」
「あ・・・あのね・・・今日、私ね・・・」
少し言葉を切る。

「すっごく楽しい」

ん?もったいぶった割には大分普通のことを言ったな。
「う・・・うん」
ボクも楽しいけど。

「だ・・・だから・・・その・・・あの・・・」
急に押し黙ると、じっとボクの顔を見つめてくる。
奏の整った顔をこんな間近で見ていると、本当にドキドキする。

奏の顔が茹でたタコのように赤くなる。
挙げ句「ご・・・ごめんなさい・・・ちょっとお手洗いに行ってくる」と逃げるように走って行ってしまった。

な・・・なんだ?なんだ?!

お手洗いから戻ってきた後も、奏の様子はなんだかおかしかった。
何かを言いかけてはやめるということが繰り返される。

昨日の優子といい、今日の奏といい、なんか妙な感じがするなあ・・・。

そうこうしているうちに大分時間が経った。

「ねえ、陽太。一緒に海が見たい」
奏がボクに何かを求めてくるのはとても珍しい。もちろん、異存はない。
ボクらはゲームポリスを出て、砂浜に降りていった。
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