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彼女はボクに発情しない
第20章 三日月が導く静かなる助奏
だから、本当に私は自信がなくて、
『陽太くんが、まだフリーなら、私は・・・私は・・・陽太くんの彼女になりたいです』
なんて変な言い方になってしまった。

二番目に考えてくれさえすればいい、と、言っているようなものだ。

今、きっと、この月の下、彼と奏ちゃんは一緒にいるに違いない。
奏ちゃんが本気で「好きだ」と言ったなら、陽太くんはきっとキスしちゃうだろうな。

なんで、あんな勝負を持ちかけてしまったのだろう。
あの花火大会の夜に思い知ったではないか。

『陽太くんは絶対に奏ちゃんの所に走っていく』

勝ち目なんかあるワケがない。陽太くんの目には最初から奏ちゃんしか映っていない。

はあ・・・。

深いため息が出る。思わず、真っ暗な空を振り仰ぐ。
なんでか知らないけど、空が滲んでいく。星たちは歪んでいた。
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