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彼女はボクに発情しない
第22章 陽気な家族のための小舞曲
「わ!風香!おま、なん・・・え?あれ?奏?!」
突然、起こされ、目の前に妹の顔があり、更に私もいたものだから、陽太は大層混乱していた。本当に、ごめんなさい。

「とっとと起きなさいよ!もう!ホント!この部屋、臭うわよ!換気しなさいよ!!」
風香ちゃん、容赦ないなあ。エアコンを消すと、ガバっと窓を開ける。

「おはよう、陽太」
眠い目をこすりこすりしている陽太に声をかける。
寝起きの顔もかわいい。陽太はまだ意識がはっきりしていないらしく、もあっとした顔をしている。

「早く着替えてなんか食べてきなよ!奏お姉ちゃんに宿題手伝わせてんでしょ!」
風香ちゃんは蹴り飛ばすような勢いで陽太を急かす。なんかいいな、仲良しで。
へいへい、と渋々といった感じで陽太は洗面に行った。風香ちゃんが陽太の部屋の床に散らばった雑誌やゲーム類を適当に片付けてくれる。なんだかんだいって、面倒見がいい。わかるよ、陽太を見てると、そうやって世話を焼きたくなるよね。

いかに幼馴染とは言え、年頃の男の子の着替えに同席するわけにはいかないので、陽太の準備が整うまでは風香ちゃんの部屋でまたせてもらうことにした。

「もう!本当に・・・。陽ったら失礼なんだからさ!」
まだぷりぷり怒っている。まあまあ、とたしなめる。
「昨日、遅かったから許してあげてよ」
「奏お姉ちゃんは陽に甘すぎるんだよ。大体、宿題をためにためている時点で自分が悪いんじゃん!」
ごもっともなんですけどね・・・。
こりゃ、陽太は大変だ。

「準備できました・・・奏・・・さま」
適当に風香ちゃんとおしゃべりをしていると、陽太がおずおずと入ってきた。
寝坊したことについて、若干の罪悪感はあるようだ。いつもよりなおさら小さくなっている。
「じゃあ、始めましょうか!」
私が言うと、「はい」と返事をし、更に彼は小さくなった。
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