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彼女はボクに発情しない
第22章 陽気な家族のための小舞曲
「正美伯父さんがいけないんだけど、奏にジュースだと言って飲ませたのが、強いお酒だったんだよね。40度もあったらしいよ。それで、奏、酔っ払ってひっくり返っちゃってさ」

へ?そうなの?私、酔っ払ってるの?
なんか、酔っているときの感じって、発情しているときと似ている。

「それでさ、慌てて、とにかく奏の家に連れてかなきゃってなって、ボクがおんぶして出たんだけど、そこで奏がさ『こんなんでお家帰ったら叱られちゃう』『公園連れてって』って言ったから・・・」

そうなのか・・・。だから公園にいるのか。

「お水飲まなくていい?」
よいしょっと、陽太が私をベンチに座らせてくれる。
はい、どうぞと、近くの自販機で買った水をくれた。飲むと少し体の熱が引き、ふわんとした気持ちが落ち着いていく。

「具合、どう?」
具合は悪くない。むしろ、ふわふわしてて気持ちいい。なんか無性に陽太に甘えたくなってしまう。隣りに座っている陽太の肩に頭を乗せる。

「か・・・奏?」
もぞりと陽太動く。あ、ダメ!
「落ちちゃう・・・。動かないの!」
言うと、ピタリと陽太は動きを止める。そう、それでいいのよ。
私は満足した。こうして頭をくっつけていると気持ちよさは格別だ。

夏真っ盛りで暑いけど、夜の公園は少し風もあって、ちょうどよい感じだ。虫の声がそこここから聞こえる。
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