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彼女はボクに発情しない
第24章 青嵐の序曲
【Overture that foreshadows a great storm】

「陽太・・・夏休み明け、お前ほど分かりやすいやつはそうそういないと思うぞ」
かろうじて意識を保って過ごした始業式がやっとのことで終わり、帰りのHRまでの僅かな休息時間で貪欲に睡眠を貪っているボクに話しかけてくるやつがいる。

弦次か・・・。

顔を上げる気力もない。
昨日(いや、時刻的には今日か?)は3時頃までかかってやっと宿題が終わり、どうやらそのまま奏の部屋で意識を喪失していたらしい。奏曰く『起こしても起きなかったし、運ぼうにも重くて無理』ということで、結局奏の部屋の床で朝まで眠ってしまった。

朝7時前に奏で起こされ、やっと起きられたボクは、そのまま重い体を引きずるようにして家に帰り、シャワーを浴び、二度寝の誘惑をなんとか振り切って登校したというわけだ。

途中、何度意識を失いかけたかわからない。始業式にずっと目を開けていられたのは我ながら奇跡としかいいようがない。

「宿題、何時までやってたんだ?」
「うるさい・・・3時だ」

生ける屍のようになっているボクに後ろの席にいる弦次が話しかけてくるので、一応は答えるが、勘弁して欲しい。1秒でもいいから寝かせてくれ。

ボクはこんな状態だが、同じだけの睡眠しか取っていないはずの奏は、何故かいつもより肌艶よく登校しているから、そのバイタリティには恐れ入る。

やっぱり、ボクは奏には一生敵わないような気がする。
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