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彼女はボクに発情しない
第24章 青嵐の序曲
それにしても、考えてみれば奏とボクは同じ部屋で寝ていたということだ。それを全く憶えていないというのは、なんというか、残念至極である。

「奏ちゃん、夏休み元気してた?」
ああ・・奏に誰かが話しかけている。突っ伏したまま、ボクは聞き耳を立てた。
よかった・・・奏に友達が・・・。
この声は・・・、ルリか?

ルリと言えば、いつもセットなのは優子だ。
そういえば優子はどうしただろう?あまりにも朦朧としすぎているかどうか全く認知していなかった。本来は、なんだか顔を合わせにくいところのような気がするが、それどころじゃなさすぎるのが返って幸いだった。

チャイムが鳴り、ガララ、と教室の扉が開く音がする。ああ、担任の佐伯先生が来てしまった。
「きりーっつ」
日直が声をかける。
HRが始まる。ボクは重い頭をなんとか持ち上げ、ヨロヨロと立ち上がる。
「きをつけー!れい!」

「じゃあ、提出物を回収するぞー」
先生が次々に提出物を読み上げ、皆はそれを後ろから前に回していく。
奏のお陰で、今日、提出しなければいけない宿題は全て出すことができた。
その後、簡単な連絡事項があり、今日はこれでおしまいだ。
ほんのこれだけのことだったが、終わりが待ち遠しくて仕方がない。

ああ・・・早く帰って寝たい。

「じゃあ、明日と明後日はテストだからな。しっかりやるように」

最後に、佐伯先生は嫌なことを言い残して去っていった。
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