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彼女はボクに発情しない
第25章 波乱の奇想曲
☆☆☆
その日は優子と奏が連れ立って校門を出ていった。楽しそうにおしゃべりしている様子だ。いつものようにボクは少し距離を取ってついていく。

相変わらずのストーカースタイル。

さっき響を通報しておいて何だが、ボクも大概怪しいやつだ。
まあ、奏公認ということで許して欲しい。

二人のほのぼのとした様子を見て、ちょっと油断していたのがいけなかった。気づくのが遅れてしまった。

駅の改札前に、響が立っていた。

「いやあ!学校のそばにいたら不審尋問されちゃってさ〜」
参った参ったと頭をかく。ボクが通報したと知ったら本気で殺りに来るだろうな・・・。
それで、こっちで張っていたのか?
バレないように柱の陰に身を潜めながら聞き耳を立てる。

「あれ?君、奏の友達?はじめまして、僕は兄の響!いつも妹がお世話になってます」
ちゃっかり握手する。優子もまんざらではなさそうな顔をする。クソ、イケメンはいいな。人生イージーモードで!

ギリッと歯を食いしばってしまう。

優子が何かしら言っていたが、よく聞き取れない。響のバカでかい声なら聞こえるが、女子二人の言葉は分からなかった。
とにかく挨拶などは終わったようで、三人が改札の向こうに消えていく。十分認知されないところまで離れてから、ボクはコソコソっと追いかけていった。

完全に、不審者だ。
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