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彼女はボクに発情しない
第27章 組曲:月下の夢 ”叢雲”
☆☆☆
一昨日、学校で発情してから、奏は早退をした。ボクは付き添いという名目で先生に無理を言って奏と一緒に帰らせてもらった。家につくまでの間、奏は一言も口を利くことはなかった。
そして、昨日、奏は部屋に閉じこもって出てこなかった。
今日も、奏の声すら聞くことができなかった。
その日の夜、月に叢雲がかかっている頃、ボクのスマホに、響からのメッセージが入った。
「明日、午後6時、木和田ビル屋上にて」
そして、ボクは今、ここにいる。
ビルの屋上、朱色の夕焼けに藍が混じり始めていた。
「よく、ビビらずに来たな」
響が言う。ビビるわけ無いだろ。
「ちょうど、ボクもあなたと話したかったところだったんです」
響は例の白色Tシャツに黒のジャケット、黒のパンツを合わせたスタイルだ。
落ちる夕日をバックに、その姿はまるで禍々しい死神のようにも見える。いや、もし、ボクが期待する通りなら、神、であるはずなのだが。
「へえ・・・お前が僕に?」
言うと、右手をポケットに入れた。取り出した手にはバタフライナイフが握られている。刀身が、朱色の光に照らされて、血の色に光っていた。
「お前ももうわかってるだろう?」
くるりと器用にナイフを手の中で回転させる。
「このままだと、奏は自滅する・・・・」
響がボクに冷たく言い放った。
逆光で顔が真っ黒に染まっている。その表情をうかがい知ることはできない。
「お前のせいだよ・・・」
ボクを射殺すような視線を向ける。
響はナイフを高く頭上に掲げた。
一昨日、学校で発情してから、奏は早退をした。ボクは付き添いという名目で先生に無理を言って奏と一緒に帰らせてもらった。家につくまでの間、奏は一言も口を利くことはなかった。
そして、昨日、奏は部屋に閉じこもって出てこなかった。
今日も、奏の声すら聞くことができなかった。
その日の夜、月に叢雲がかかっている頃、ボクのスマホに、響からのメッセージが入った。
「明日、午後6時、木和田ビル屋上にて」
そして、ボクは今、ここにいる。
ビルの屋上、朱色の夕焼けに藍が混じり始めていた。
「よく、ビビらずに来たな」
響が言う。ビビるわけ無いだろ。
「ちょうど、ボクもあなたと話したかったところだったんです」
響は例の白色Tシャツに黒のジャケット、黒のパンツを合わせたスタイルだ。
落ちる夕日をバックに、その姿はまるで禍々しい死神のようにも見える。いや、もし、ボクが期待する通りなら、神、であるはずなのだが。
「へえ・・・お前が僕に?」
言うと、右手をポケットに入れた。取り出した手にはバタフライナイフが握られている。刀身が、朱色の光に照らされて、血の色に光っていた。
「お前ももうわかってるだろう?」
くるりと器用にナイフを手の中で回転させる。
「このままだと、奏は自滅する・・・・」
響がボクに冷たく言い放った。
逆光で顔が真っ黒に染まっている。その表情をうかがい知ることはできない。
「お前のせいだよ・・・」
ボクを射殺すような視線を向ける。
響はナイフを高く頭上に掲げた。