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彼女はボクに発情しない
第28章 組曲:月下の夢 ”朱い月”
【Moon night dream Suite No.2 ”The bloody moon is lying”】
カツン。
高く上げた腕からバタフライナイフが落ちてコンクリートの床で跳ねる。
僕は何もしていない。響が、自分でナイフを手放したのだ。
「なんだ、怯えないのか。つまらない」
端から刺すつもりなんてなかっただろう。わかっていたよ。
どれだけボクがお前の殺気にさらされてきたと思ってるんだ。
それより・・・。
「奏の病気、治るんですよね?」
ボクがここに来たのはこのことを聞くためだ。奏がもう持たないことくらい、お前に言われなくてもわかってる。
「治るんですよね?」
もう一度、言う。すがる思いだ。
仁王立ちするように肩幅に足を開き、響は薄く笑った。
「ああ、もちろんだ。」
良かった・・・。肩から力が抜ける。
治るんだ、良かった。本当に。本当に・・・。
「じゃあ・・・早く・・・」
「その前に、やることがあるんだよ」
ナイフを拾い上げて、突きつけてくる。
「お前を殺して終わりにできるなら、楽なんだがな。なんであの時、殺らなかったのかが悔やまれる。」
そのまま近づいてきた。ボクの胸にナイフの切っ先が触れる。
「いいか?キーパーソンはお前だ。奏を助けたければ・・・」
耳元で響が言った言葉に、ボクは目を張り裂けんばかりに見開く。
だけど、しっかりと意味が認識できるにつれて、すぐに思い直した。
なんだ、そんなことでいいのか。
気づいちゃえば悩むまでもないことだ。
ボクは、響の提案を受け入れた。
カツン。
高く上げた腕からバタフライナイフが落ちてコンクリートの床で跳ねる。
僕は何もしていない。響が、自分でナイフを手放したのだ。
「なんだ、怯えないのか。つまらない」
端から刺すつもりなんてなかっただろう。わかっていたよ。
どれだけボクがお前の殺気にさらされてきたと思ってるんだ。
それより・・・。
「奏の病気、治るんですよね?」
ボクがここに来たのはこのことを聞くためだ。奏がもう持たないことくらい、お前に言われなくてもわかってる。
「治るんですよね?」
もう一度、言う。すがる思いだ。
仁王立ちするように肩幅に足を開き、響は薄く笑った。
「ああ、もちろんだ。」
良かった・・・。肩から力が抜ける。
治るんだ、良かった。本当に。本当に・・・。
「じゃあ・・・早く・・・」
「その前に、やることがあるんだよ」
ナイフを拾い上げて、突きつけてくる。
「お前を殺して終わりにできるなら、楽なんだがな。なんであの時、殺らなかったのかが悔やまれる。」
そのまま近づいてきた。ボクの胸にナイフの切っ先が触れる。
「いいか?キーパーソンはお前だ。奏を助けたければ・・・」
耳元で響が言った言葉に、ボクは目を張り裂けんばかりに見開く。
だけど、しっかりと意味が認識できるにつれて、すぐに思い直した。
なんだ、そんなことでいいのか。
気づいちゃえば悩むまでもないことだ。
ボクは、響の提案を受け入れた。