この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
彼女はボクに発情しない
第28章 組曲:月下の夢 ”朱い月”
お兄ちゃんが、何度も、何度も、イギリスに行こうと言ってくれた。
『僕が絶対に治すから』
と。
でも、いくらお兄ちゃんがいるといっても、知らない土地に行くのは、それはそれで怖い。
勇気が、出ないのだ。
「イギリス、行ってきなよ。」
「うん・・・」
私は、この時、直感的に陽太は『ボク、待ってるから』と言ってくれると思ってしまっていた。ちょっと前までは全く確信できなかったのに、ここ最近は、言われてもいないのに、陽太はずっと自分のそばにいてくれるんだ、と、思ってしまっていた。
でも・・・、
「ボクのことは、心配しなくていいからさ」
暗闇の中、少し顔を上げる。
あまりにも、期待したのと違う言葉で、一瞬意味が分からなかった。
「だから、イギリスに行って、ちゃんと病気治しなよ」
そう・・・なんだ・・・。
胸がチリチリと痛んだ。怖さじゃない、不安じゃない。他のなにか。
「うん・・・」
私は小さく、返事をすることしかできなかった。
『僕が絶対に治すから』
と。
でも、いくらお兄ちゃんがいるといっても、知らない土地に行くのは、それはそれで怖い。
勇気が、出ないのだ。
「イギリス、行ってきなよ。」
「うん・・・」
私は、この時、直感的に陽太は『ボク、待ってるから』と言ってくれると思ってしまっていた。ちょっと前までは全く確信できなかったのに、ここ最近は、言われてもいないのに、陽太はずっと自分のそばにいてくれるんだ、と、思ってしまっていた。
でも・・・、
「ボクのことは、心配しなくていいからさ」
暗闇の中、少し顔を上げる。
あまりにも、期待したのと違う言葉で、一瞬意味が分からなかった。
「だから、イギリスに行って、ちゃんと病気治しなよ」
そう・・・なんだ・・・。
胸がチリチリと痛んだ。怖さじゃない、不安じゃない。他のなにか。
「うん・・・」
私は小さく、返事をすることしかできなかった。