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彼女はボクに発情しない
第6章 雨音とキスの追走曲
☆☆☆
酷い雨だった。傘を叩く雨音で周囲の音が聞こえなくなるくらいだ。
そして、気温が低い。とても夏になりかかっているとは思えないほどだった。間違って半袖Tシャツなんかで出てきてしまったものだから、かすかに鳥肌が立っている。
悪寒が背中を駆け上がる。せっかく治りかけたのに、また風邪がぶり返しそうだ。
それでも、行かねば!
ぐっぐっ、と2〜3度、アキレス腱を伸ばす。HELPサインの場所は確認済みだ。幸運なことに、最寄り駅まではついているようだ。建物からして、おそらく、駅近くのマンガ喫茶に駆け込んだようだ。
雨の中を走る。あまりの豪雨に傘はほとんど役に立っていない。身体中がずぶ濡れになっているが、そんなのは構っていられない。とにかく、早く、一刻も早く、だ。
ボクの頭にいつもあるのは、あの日の奏だ。
あんな絶望を、二度と味わわせたくない。
ただ、この激しい雨と、やはり病み上がりのせいか、いつものスピードが出ない。それでも、ボクは懸命に走りつづけた。
HELPをもらってから、15分ほど経ったころ、やっとボクは彼女が待つマンガ喫茶があるビルに到着した。
酷い雨だった。傘を叩く雨音で周囲の音が聞こえなくなるくらいだ。
そして、気温が低い。とても夏になりかかっているとは思えないほどだった。間違って半袖Tシャツなんかで出てきてしまったものだから、かすかに鳥肌が立っている。
悪寒が背中を駆け上がる。せっかく治りかけたのに、また風邪がぶり返しそうだ。
それでも、行かねば!
ぐっぐっ、と2〜3度、アキレス腱を伸ばす。HELPサインの場所は確認済みだ。幸運なことに、最寄り駅まではついているようだ。建物からして、おそらく、駅近くのマンガ喫茶に駆け込んだようだ。
雨の中を走る。あまりの豪雨に傘はほとんど役に立っていない。身体中がずぶ濡れになっているが、そんなのは構っていられない。とにかく、早く、一刻も早く、だ。
ボクの頭にいつもあるのは、あの日の奏だ。
あんな絶望を、二度と味わわせたくない。
ただ、この激しい雨と、やはり病み上がりのせいか、いつものスピードが出ない。それでも、ボクは懸命に走りつづけた。
HELPをもらってから、15分ほど経ったころ、やっとボクは彼女が待つマンガ喫茶があるビルに到着した。