パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第8章 北風と太陽による諧謔曲

「楽しみにしてるからね」
さらに笹本さんまで入ってくる。周りに人がいっぱい来てしまい、肝心の奏の様子がよく見えない。ちらっと、大槻さんの背中越しに教室から出て行く奏が見て取れた。

待って、待って〜。

「ちょ・・・今日、急ぐから！」
なおもボクの周辺でワイワイ騒いでいる友人たちを押しのけるようにして、教室から走り出る。廊下に出て見渡すが、すでに奏の姿はなかった。

はや！

行き先は昇降口なのは分かってるので、ダッシュだ。
途中で、「こら！高山！！廊下を走るな」と誰かに言われた気がするが、無視した。

テストという重荷から解放されたボクの身体は軽い。まるで羽が生えたようだ。
そうそう奏を見失うことはないはず・・・と思ったのだが・・・。

いない・・・。
下駄箱を見渡してもいない。校門の方まで目を凝らしてみたが、やっぱりいない。そんな、ついさっき出ていったはずなのに、見失うなんて・・・。

どういうこと？