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第14章 別れ

もはや、原島が帰ってくることはないのだ。

絵理奈はそう確信しながら、しかし、そこから立ち去ることができなかった。

アルバイトと思われる数人の若者たちが、黙々と作業を続けている。

次々に運び出す荷物。

いったいそれをどこに運んでいくというのか。

「ねえ、あなた」

「はい？」

「この引越しは、いったい誰に指示されてるのかしら」

「なんでも借主さんが夜逃げしたから、大家さんがしかたなく」

「大家さん？」

「とりあえず大家さんが手配した倉庫にこれを保管しておくらしいです」

「倉庫・・・・・・」

そのとき、絵理奈は彼が運び出そうとしている、ある荷物に視線を注いだ。

そこには、絵理奈がよく知るものがあった。

「ねえ・・・・・・」

「えっ？」

「それ、私にもらえないかしら」