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人妻デッサン~絶頂に導かれた絵理奈
第15章 エピローグ
芸術大学というだけあって、構内は独特の雰囲気がある。

その人妻は、どこか緊張した様子で広々としたキャンパスを歩いていた。

青く澄んだ秋の空が広がっている。

若者たちは皆、何かを待ち焦がれるように、一様に楽しそうだ。

人妻がそこに来た目的は、結局果たされることはなかった。

「ええっと、原島桔平さんですね・・・、原島、原島、と・・・・・・・」

あの名刺に書かれた大学、そして学科。

卒業生として登録されているはずの彼の名を、人妻は探しにきたのだ。

しかし、結果は人妻が想像した通りだった。

「おかしいなあ。そんな名前の方は卒業名簿には掲載されていませんねえ」

「そうですか・・・・・・。ありがとうございました・・・・・・」

何らかの連絡先がわかるのかもしれない。

人妻の淡い期待は、はかなく消え去った。

でも・・・・・。

これでいいのかもしれない。

こんなことをしなくても、いつかまたきっと、彼に会うことができる。

人妻はそう信じ、自然に幸せな気分に包まれていく。

そう、きっと会えるんだから・・・・・・・。

何度もそう言い聞かせながら、人妻はゆっくりと歩みを進めた。
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