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第4章 モデル

「えっ？」

「できる限りで結構です。初日ですから戸惑うのも無理はない」

原島に、それを強要する態度はまるでない。

いやなら何もしなくてもいいんです。彼の優しい視線はそう伝えている。

しかし、絵理奈はわかっていた。

何もせずにここを立ち去ったなら、今の生活は何も変わらないと。

一生、行先もわからないまま、年老いていくだけよ・・・・・。

でも、裸になることなんか、やっぱり無理・・・・・・・・・。

「できるところから始めましょう、奥さん」

「えっ？」

「さっきも言いましたが、最初から裸になるなんて抵抗ありますよね」

「は、はい」

「今日は、できる限りでいいですから、大胆になってみませんか？」

「大胆に、ですか？」

「悩み、不満、先が見えない不安。そんなものを全部脱ぎ捨てるんです」

大胆になることで、生まれ変わることができるの？

違う自分・・・・・。自分が知らなかった本当の自分自身に・・・・・・・。

「ここで脱ぐのは恥ずかしいでしょう。さあ、こちらへ」

原島に促されるまま、絵理奈は狭い更衣スペースへ誘導される。