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背徳は蜜の味
第2章 人妻その二 ~電車で痴漢されて~
ほどなくして電車は、とある駅に停車した。
インバウンドの渡航者たちも格安のホテルが建ち並ぶその駅の界隈のホテルに宿泊するのか、一気に下車し始めた。
その流れに乗って、美緒も駅に降りようと考えた。
「この駅で懲りるんですね?」
痴漢の男は耳元で囁くと、以外にも痴漢行為をスッとやめてくれた。
「降りたいなら降りていいよ。
嫌がることはしたくないから」と囁く。
急いで人の波に呑み込まれるように駅に降り立つと、美緒はその足で駅のトイレに逃げ込んだ。
『痴漢されちゃった…』
逃げ込んだ個室の便器に腰を下ろしてドキドキする動悸を抑え込もうとした。
そして何気にショーツを下ろしてみると
驚いたことにショーツがお漏らしをしたかのようにぐっしょりと濡れていることに気づいた。
『私…痴漢されて感じちゃったんだわ…』
恥ずかしいやら情けないやらで
なぜだか意味もなく涙が溢れてとまらなかった。
さて、逃げるために慌てて下車したものの、
格安のホテル以外はなにもない辺鄙な街だった。
「こんなことならお部屋でのんびりしていた方が良かったわ…」
再び駅の改札をくぐり抜けて
気分転換にもならなかったわと
自宅に向かう下り電車に飛び乗った。
登り電車と違って
この時間はサラリーマンの帰宅時間とも重ならないので電車はめちゃくちゃ空いていた。
痴漢の事なんて少しずつ忘れて行っていました。
美緒は空席の目立つシートに腰を降ろしてスマホゲームで退屈を紛らわせた。
すると空席だらけにも関わらず、
美緒の隣に密着するように一人の男性が座ってきた。
変な人…
わざわざ隣に座らなくてもいいのに…
そう思って別のシートに席替えしようかとも思ったけれど、何だか逃げるみたいで気分を害してはいけないとそのままの席でスマホゲームの画面に目を落とした。
ふと、お尻に触れる感触を感じた。
美緒は思わずピクンと震えてしまった。
その手付きは先ほど登り電車の中で痴漢してきた男のものだと瞬時にわかった。
「あなた…どうして…?」
「きっと帰りは逆のホームから電車に乗ると思って待ち構えていたんですよ」
もしかして、私は狙われている?
痴漢というよりもストーカー紛いの執拗さに
別の意味でその男に恐怖を感じた。