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背徳は蜜の味
第19章 人妻その十九 ~エッチの相手も管理人の仕事~

若宮夫妻は夫の耕平が定年退職をしたのを機に
知り合いの不動産の伝手(つて)でマンションの管理人として住み込みで働くことになった。

サラリーマン時代よりはるかに給金は少なくなったけれど、管理人ということでマンションの家賃はチャラにしてもらえたのでなんとか暮らしていけそうだった。

管理人としての仕事にもようやく慣れた頃、
運悪く夫の耕平が階段から足を滑らせて転げ落ちた。

一人で管理人としての職務をこなせないこともなかったけれど、それでも夫の見舞いと管理人としての二足のわらじは還暦前の体には相当堪えた。

「さて、ぼやぼやしていたら仕事がどんどん増えちゃうわ」

光子は箒(ほうき)を片手に敷地内に設置されているゴミステーションに向かった。

『まただ…』

あれほど可燃物と不燃物を分けて欲しいと掲示板に何度も書いているのに、分別しない不届きものが後を断たない。
仕方なく光子が分別をする羽目になる。

そこへごみ袋を手にした住人の島崎郁郎がやって来た。
「こんにちは…」
光子が挨拶してもうんともすんとも言わない。
プログラマーだとかで在宅の仕事をしているせいか、やけに青っちょろい。

「あなたねえ…以前にも言いましたよね?
ゴミは分別してもらわないと!
マンションの掲示板にも貼り出してあるんだからちゃんと読んでもらわないと!」

「はあ…すいません…
離婚して妻が部屋を出ていったものですから
そこまで頭が回らなくて…」

なるほど、だからやたらとデリバリーのプラスチック容器が多いのね…

「貸して、私が分別するから」

光子は彼の手からごみ袋を奪い取ると
世話女房のように甲斐甲斐しくゴミの分別をしてあげた。

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