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背徳は蜜の味
第26章 人妻その二十六 ~隣のご主人にハメられて~
へい!おまち!!
目の前に頼んだ料理が勢揃いした。
「まずは乾杯しましょ」
グラスを手にした麻奈が無理やり絹代の持つグラスにカチンと合わせて心地よい音を立てる。
ニコニコ顔の麻奈とは対照的に絹代は不貞腐れていた。
外出前に夫から不倫を疑われていたことを根にもっていたからだ。
「ほらぁ~、そんな顔をしてないで。
お酒は楽しく呑むものよ」
「だってえ…不倫をしているんじゃないかって疑われたのよ!腹が立つじゃない!
わたしはさぁ、夫一筋なのよ」
絹代はコップ酒を一気に喉に流し込んだ。
「あらあら、ご機嫌斜めね
でも、そんな呑み方しちゃ悪酔いしちゃうわよ」
そうそう、お酒は楽しく呑んでくださいね
行きつけの居酒屋の大将がカウンター越しに冷酒のおかわりを絹代の前に差し出しながら苦笑した。
「だってぇ…」
あまりにも腹立たしかったので、
いつもはお出かけ前に夫と交わす「行ってきます」のキスさえ断って部屋を飛び出してきた。
いつもと違うルーティンに、この日は荒れている絹代だった。
「私たちがさぁ、真っ昼間からこうして呑めるのも、旦那がしっかり稼いできてくれるからじゃない。だから、多少イヤなことを言われても気にしちゃダメよ」
そのように諭しながらも、絹代のピッチに合わせて呑んでいると、麻奈も知らず知らずのうちにハイペースになっていた。
「あんまり呑むと良くないですよ
特に昼呑みはね」
売り上げが上がるのは喜ばしい事だが、
こうして顔馴染みとなった女性二人が酔いつぶれるのは見るに忍びないので、居酒屋の大将はお酒のおかわりを申し出る二人に冷たい氷水を差し出した。
「なによ!お酒を呑ませないつもり?
案外とつまんない男ね!」
酔うと酒癖が悪いのは、どうやら麻奈の方であった。
絹代はと言うと、メイクが崩れるのもお構いなしに、カウンターに顔を突っ伏して爆睡し始めていた。