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背徳は蜜の味
第28章 人妻その二十八 ~女上司と部下のエッチ~
「さて、オヤジも退散してくれましたし、僕たちも帰るとしますか」
もうオヤジの姿は見えないけれど、
もしかして物陰に隠れていて襲いかかって来られたら怖いと思って、亜希子は思わず九条の腕にしがみついた。
「えっ?」
「怖いのよ、お願い、部屋までついてきて」
「で、でも…」
「上司のお願いなんだから、素直にハイと言いなさい」
亜希子は自分でも情けないなぁと思った。
けれども、あんな風に絡まれたのは初めてだし、
タクシーの運転手も送り狼になるってことも聞いたことがあるしと、いつになく弱気になっていた。
マンションまでタクシーで帰りつくと、
「じゃあ、僕はこのままタクシーで帰りますね」と
帰ろうとする九条を「お礼にコーヒーでも飲んでいってよ」と無理やり部屋に連れ込んだ。
「すいません…成り行き上とはいえ、課長のお部屋にお邪魔してしまうなんて…」
「やだ、かしこまらないでよ
お部屋に誘ったのは私なんだから自分の家だと思ってリラックスしてよ」
部屋の片隅で縮こまって立ち尽くす九条の手を取って無理やりソファに座らせた。
「あの…失礼ですがご主人は?」
とりあえず、こんな夜更けにお邪魔したからには
ちゃんと挨拶をしたいと申し出た。
「あら?仕事はサッパリなのに、そういうところのお行儀はいいのね
安心して、うちの人は外務省の官僚でね、今はニューヨークよ」
「へ、へえ~、さすがエリート同士のご夫妻なんですね…そうかぁ…官僚かぁ…」
自分と比べれば月とすっぽんなので
とてもじゃないが場違いのような気がして早々にお暇(いとま)しようとソファから腰を浮かせた。
「えっ?帰りたいですって?
あなた、どういうつもりよ。私と二人っきりになるのがそんなにイヤなわけ?」
自分のテリトリーに戻ってきたせいか、
道中で怯えていた姿はすっかりとなりをひそめ、
いつものキャリアウーマンとしての威厳のある態度になっていた。
「そういう訳じゃないですけど…
ほら、流石に男と女が深夜に二人っきりっていうのは不味いと思うんですよ」
「会社の誰かに見られた訳じゃなし、
ここで二人っきりになっているのは誰にもわからないわよ」
そう言いながら「まだまだ帰さないわよ」と
亜希子は九条に寄りかかってゆく。