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背徳は蜜の味
第34章 人妻その三十四

「で…娘の香は?」

「ママが帰ってくるまではと、頑張って起きていたんですけどね、ついに電池が切れたようで、今は充電中です」

起こしちゃうとマズイんでソッと付いてきてくださいね

そう言いながらも
歩き方のクセなのか、彼はスリッパをペタペタ鳴らしながらお昼寝ルームに瞳を案内した。

ドアを開けると、廊下からのわずかな明かりで室内が見渡せた。
真ん中あたりに幼児用の可愛い布団を敷いて、娘の香がスヤスヤと眠っていた。

「本当にどうもすみませんでした」

瞳は娘の所まで足を運んで、娘の香を抱き起こそうとした。それを保育士の遠藤がストップをかける。

「あっ、そのままにしておいてあげてください
香ちゃんは寝起きがとても不機嫌なんです
まだ寝入ってから一時間も経っていないので、今、起こすとギャン泣きすると思います」

「でも、連れて帰らないという訳にはいきませんから…」

「今、起こして連れて帰っても、数時間後には再び起こしてここに連れてくるんですから、どうです?今夜はここで寝させてあげませんか?」

「でも…遠藤さんもお帰りになるんでしょ?
夜中に娘が目を覚まして誰もいないとなると、
それこそ娘がパニックになってしまうわ」

「ええ、だからお母さんもここに泊まっていってください。安心してください、用心のために僕も保育園に泊まりますから」

「そんな…ご迷惑だわ…
自宅のベッドの方が身体を休める事ができるんでしょ?」

「ははは、その心配には及びませんよ
どうせ帰ったってゲームをするかエロ動画を見てほとんど寝ないに等しいんですから」

ほら、香ちゃんの隣にお布団を敷いてあげますから、ゆっくりと休んでくださいな

そう言って幼児用の布団を敷いてくれたけれど、
可愛い布団なので足は飛び出るわ、掛け布団なんてお腹の上にちょこんっと被せるだけなので、
ゆっくりと休めと言われても夜が更けてくると寒くて仕方なかった。

『これじゃ、とてもじゃないけれど眠れそうにもないわ…』

日付が変わる頃には
小さな布団で身体を丸めてブルブルと震え始めた。

「香ちゃんのお母さん、起きてますか?」

今夜は冷えますね、その布団じゃ大人は寒いでしょ?
そう言って遠藤は大人用の毛布を持ってきてくれた。
それを受けとると、今までその毛布にくるまっていたのか、人肌に暖められていた。


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