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背徳は蜜の味
第8章 人妻その八 ~夫の部下に寝取られて~

今夜の夫は、やけにお酒のピッチが早かった。
酒癖も悪くなく泥酔しても大声で怒鳴ったり暴力を振るうこともない人だったけど、
ある程度の酒量に達すると、まるで電池が切れたようにコテンと寝てしまう。
今夜もまさにそのように、部下を客として招いておきながら、ソファに横になるとさっきまでおしゃべりをしていたのが嘘のように高イビキをかきはじめた。

「もう!あなたったら!
そんなところで寝ないでよ!」

「奥さん、僕が手助けしますから課長を寝室に運びましょう」

まだお酒の味を覚えて間もないのに
元々アルコールに強いタイプなのか、
それとも緊張のあまり酔えないのか
彼は夫にかなり呑まされたはずなのに、わりとシラフのようにしっかりしていて、体躯の良い夫を背負うと寝室に連れていってくれた。

「ごめんなさいね…お客さまのあなたを放ったらかしにして…」

「いえ、全然大丈夫です
では、僕もそろそろ帰らせていただきます」

そう言って腕時計に目をやって「しまった!終電が行ってしまった!」と狼狽(うろた)えた。
タクシーを呼んでいただけませんか?と申し出た彼に「そんな…明日はお休みなんでしょ?でしたらウチに泊まっていけばいいじゃない」と彼女は引き留めた。

「いいんですか?」

「いいもなにも、私、あなたのことが気に入っちゃったから、二人でトコトン呑みましょうよ」

こうして深夜の二人だけの酒宴が始まった。

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