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天狐あやかし秘譚
第115章 妖異幻怪(よういげんかい)
宝生前がこう言うのも、もっともである。敵の狙いが実際のところ、なんなのかがわかっていないが、こちらを鞍馬山に誘い出そうとしているのは間違いない。仕掛けてくる時点であちらの準備は万端と考えるのが普通だ。
この時点で宝生前と御九里にとって、最も大事なことは『敵に気づかれないこと』である。向こうがどのような監視体制を取っているかは不明であるが、全時刻、全方位に渡って沖津鏡で『視て』はいないということは推測できている。だとすると、侵入者を検知するためには沖津鏡以外の方法、例えば何らかの呪的もしくは現代科学的な設備、もしくは単純に見張り人員の配置などがあるはずなのだ。
それらを宝生前は持ち前の式神『野づ霊』で検知して躱そうとしており、御九里は自身の霊力知覚を使って感知し、すり抜けようと考えていた。いずれにせよ、一か八かに近い行為ではある。
二人が二人とも、綾音の命に責任を感じているのだ。もちろん二人だけではない。土御門以下、陰陽寮の全幹部も同じ気持ちだった。
それが、この一見無謀とも言えるミッションの遂行を後押ししていた。
御九里は主として樹上を、宝生前は地を駆けていく。それでもほとんど足音や気配らしきものを感じさせないのは、二人が受けてきた訓練の賜物と言えるだろう。
草も木も眠り込んだかのように息を潜める夜明け前の森の中には、虫たちの密やかな鳴き声だけが響いていた。
この時点で宝生前と御九里にとって、最も大事なことは『敵に気づかれないこと』である。向こうがどのような監視体制を取っているかは不明であるが、全時刻、全方位に渡って沖津鏡で『視て』はいないということは推測できている。だとすると、侵入者を検知するためには沖津鏡以外の方法、例えば何らかの呪的もしくは現代科学的な設備、もしくは単純に見張り人員の配置などがあるはずなのだ。
それらを宝生前は持ち前の式神『野づ霊』で検知して躱そうとしており、御九里は自身の霊力知覚を使って感知し、すり抜けようと考えていた。いずれにせよ、一か八かに近い行為ではある。
二人が二人とも、綾音の命に責任を感じているのだ。もちろん二人だけではない。土御門以下、陰陽寮の全幹部も同じ気持ちだった。
それが、この一見無謀とも言えるミッションの遂行を後押ししていた。
御九里は主として樹上を、宝生前は地を駆けていく。それでもほとんど足音や気配らしきものを感じさせないのは、二人が受けてきた訓練の賜物と言えるだろう。
草も木も眠り込んだかのように息を潜める夜明け前の森の中には、虫たちの密やかな鳴き声だけが響いていた。

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