この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
天狐あやかし秘譚
第115章 妖異幻怪(よういげんかい)
☆☆☆
二人が別れてから10分ほどが過ぎた。左右に展開した二人は、それぞれ鞍馬山を捜索していく。注意深く、かつ急いで・・・、そんな気持ちだった。
互いに連絡を取り合えない状況なので、知るよしもないのだが、最初に奇妙なものを発見したのは、宝生前・・・いや、正確には宝生前の式神である野づ霊だった。
・・・あれは?
野づ霊の暗視視力が、森の木々の間に光る『何か』を捉えた。それにはもちろん、式神の視覚を共有していた宝生前も気づくことになる。宝生前はその『何か』から十分距離を取ったところで息を潜め、木陰に身を隠し、慎重にそちらを窺う。
念のため、式神に地に潜むように命じる。土性の式神である野づ霊は、まるで水の中に潜るかのように土や岩の中に潜り込むことができるのだ。これにより、外に漏れ出す霊力を限りなく0に近づけることができ、気づかれにくくなる。
そっと陰から顔をのぞかせ、光に目を凝らす。
もちろん、周囲に妖気や呪力を放つものがないかについても気を配ることを忘れない。
周囲には・・・呪力源は確認できず・・・
あそこにいるのは人?
光がぐるりと水平に回転するかのように動いたように見えた。一点から前方に伸びるオレンジの光だ。それは懐中電灯の光のように見える。どうやら誰かが懐中電灯を持って森の中におり、何かを探しているようだった。
見張りですか・・・?
それは十分に想定できた。
そして、見張りがいるということは、自分が向かっている方向が目的地に近いということを暗示していた。
こんなときであるが、宝生前の格好はいつもの通り三つ揃えのスーツである。綾音には『夏なのにそんな格好で暑くないの?』と聞かれているが、彼がこの服を好んで身に着けているのには大きく二つの理由があった。
ひとつは単に気に入ってるからである。
そしてもうひとつがこれだ。
胸ポケットから石釘を一本引き出す。短めのものであり、宝生前が得意とする土の術式の媒介として用いられるものだ。
二人が別れてから10分ほどが過ぎた。左右に展開した二人は、それぞれ鞍馬山を捜索していく。注意深く、かつ急いで・・・、そんな気持ちだった。
互いに連絡を取り合えない状況なので、知るよしもないのだが、最初に奇妙なものを発見したのは、宝生前・・・いや、正確には宝生前の式神である野づ霊だった。
・・・あれは?
野づ霊の暗視視力が、森の木々の間に光る『何か』を捉えた。それにはもちろん、式神の視覚を共有していた宝生前も気づくことになる。宝生前はその『何か』から十分距離を取ったところで息を潜め、木陰に身を隠し、慎重にそちらを窺う。
念のため、式神に地に潜むように命じる。土性の式神である野づ霊は、まるで水の中に潜るかのように土や岩の中に潜り込むことができるのだ。これにより、外に漏れ出す霊力を限りなく0に近づけることができ、気づかれにくくなる。
そっと陰から顔をのぞかせ、光に目を凝らす。
もちろん、周囲に妖気や呪力を放つものがないかについても気を配ることを忘れない。
周囲には・・・呪力源は確認できず・・・
あそこにいるのは人?
光がぐるりと水平に回転するかのように動いたように見えた。一点から前方に伸びるオレンジの光だ。それは懐中電灯の光のように見える。どうやら誰かが懐中電灯を持って森の中におり、何かを探しているようだった。
見張りですか・・・?
それは十分に想定できた。
そして、見張りがいるということは、自分が向かっている方向が目的地に近いということを暗示していた。
こんなときであるが、宝生前の格好はいつもの通り三つ揃えのスーツである。綾音には『夏なのにそんな格好で暑くないの?』と聞かれているが、彼がこの服を好んで身に着けているのには大きく二つの理由があった。
ひとつは単に気に入ってるからである。
そしてもうひとつがこれだ。
胸ポケットから石釘を一本引き出す。短めのものであり、宝生前が得意とする土の術式の媒介として用いられるものだ。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


