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天狐あやかし秘譚
第116章 疑心暗鬼(ぎしんあんき)
まあ、ダリならそう言うだろうな・・・。
でも、私も正直言って心配だ。

ダリは確かに強い。今までの戦いを見ていても、その力は神に匹敵すると言ってもいい。しかし、彼の力は直接的な交戦における攻撃や防御、回復能力などには特化しているが、今回みたいな『未来を確定する』とか『心の中に入り込む』のような特殊な能力というか、搦め手には弱い気がする。さらに言えば、結界に閉じ込められ、孤立させられるみたいにして、妖力の補給経路を断たれるとやはりピンチになることがある。

強いけど、万能ではない。
それが天狐ダリなのだ。

「最大限のバックアップはする。
 だから・・・天狐ダリよ・・・
 陰陽寮陰陽部門筆頭、土御門加苅がここに願う。
 わいらの大切な仲間なんや。
 浦原綾音を、宝生前桐人を、御九里牙城を
 ・・・どうか、救ってくれ」

画面の向こうで土御門が深く頭を垂れた。

ダリが立ち上がる。その姿はいつの間にか狐神モードに変わっていた。

「綾音の命がかかっている時点で是非もない。
 貴様に言われるまでもなく・・・行くつもりであった」

そのまま衣を翻し、部屋を出ようとする。
扉を開いたところで、立ち止まって私の方を振り返った。

「綾音・・・待っておれ・・・
 主の命を盾にとったこと、きっと後悔させる」

妖力で移動したのだろう。
そう言い残し、彼の姿は一瞬の内に消えてしまった。

「京都支部の祓衆、祭部、占部は、ダリはんのバックアップに当たれ。特に敵方に妙な結界を張られんよう、祭部は警戒を怠るな。占部は鞍馬山周囲10キロ四方の術者をモニターしろ。まつろわぬ民側からの援軍の投入も考えられる。祓衆は鞍馬山近くで待機、いつでも出れるようにしとけ」

土御門の檄が飛ぶ。

「今回ばかりは陰陽寮はバックアップ専従や。ええか、お前らの任務は、天狐ダリが三人の命を救うことを支援すること、そして・・・死なん事や」

京都支部、行けぇ!!

土御門の号令一下、京都支部の陰陽師たちは一斉に厳戒態勢に突入した。
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