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恋人岬には噂があった
第2章 第2話
「私はほんのちょっとだけだからね。だけど私たちお酒は弱いのに、夏場になるとなぜお父さんは晩酌するの?」
「晩酌って言葉が好きなんだよ。それにさ、風呂上りの一杯がうまい。二杯目からはうまいとは思わないな」
「あっ、私と同じだ。健太もお父さんと同じこと言ってた。お父さんと健太、ちょっと似てるよね」
 そう言われ、自分と似ているところは好ましいのだが、自分よりも太く見えるのは納得できないと、昨年末の温泉宿が再び頭に浮かんでいる。しかし、野上は心の中で頭をふって黙っていた。
「ではお父さん。乾杯と、頂きますしようか?」
 野上と由香はビールを口にしている。
「やっぱり、風呂上りに冷えたビールはうまいな」
「うん、言えてる。健太が作ってくれた、たたきの味はどう?」
 野上はこのとき箸を出しながら、早く食事を終わらせたかった。奈々のメールが気になるのだ。
「うん、うまい」
「ふーん、やっぱり変だね。帰って来たときの態度は違うし、スマホはいつもとは違うとこに置くし、いつもならカツオの味がする、とか言って笑わせてくれるのに。それに食事のスピードが速い。奈々さんのメールが気になるんでしょ」
 目を細めた由香の視線と洞察力は鋭かった。野上が自分でも気づかずに無意識に置いたスマホまでも見ていたのだ。
 野上は、ごはんをお代わりしながら訊いた。
「鋭いな。なぜそこまで分かるんだ?」
「一緒に暮らしていれば、誰だって簡単に気づくと思う。ところで、どこの奈々さん?」
 由香は目を丸くして、お代わりを渡しながらそう言った。
 だが野上は今現在、奈々との付き合いに確信があるわけではない。少しだけ答えた。
「知り合ったばかりなんだ。勤め先は潮崎町の携帯ショップだよ」
「この隣町じゃない。じゃあ、私たちが利用してる携帯ショップってことだね。でもさ、タイトルに上さまって書くということは、親しくなりたいからそう書くのよ」
「そうかな?」
「そうよ。同じ女としてよくわかる。メール見てあげようか? よくわかるから」
「それはだめだ。プライバシーというものがある。ところで、由香は忙しいんじゃないのか?」
「全然忙しくない。でも、お父さんは忙しいんじゃない? 早く食事を終えてメール読みたいんでしょ」
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