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恋人岬には噂があった
第3章 第3話 最終章
 沙織は、そう言ってノートを胸に抱くと、場内に入って来た鈴本タイヤのトラックを見て、野上に失礼しますと言った。ポニーテールの黒髪が動き、制御室のドアへ向かっている。
 野上には、沙織の尻が目についた。男を誘惑するように、色っぽく動いていくからだ。
「沙織ちゃん、届いたタイヤを確認しに行くのかい?」
 野上の言葉に、振り向いた沙織は目を丸くした。なぜ当たり前のこと訊くの? とそんな眼をしている。
「もちろんです」
 彼女の尻を見てつい声をかけてしまったが、野上はそれでいいのだと言うように黙って頷いた。見つめて来る沙織の眼は澄んでいた。生真面目でいつも几帳面だな、と彼女の後ろ姿を見てそう思った。
 ただ、沙織をいつも見ている野上には、前々から関心事があった。
 沙織が勤め始めたときから、ファンになった者は多くいた。彼女の人柄を見ていれば、ほとんどの者がそうだろう。野上もそのひとりだが、中でも得意先の若い現場監督の玉川は、ファンというよりも、沙織に心底惚れているようにみえた。
 野上が、玉川を観察する機会はほとんどなかった。しかし雨天で工事が中止のときなど、玉川は仕事の打ち合わせで楓生コンに顔を出すときがあった。
 そのときの玉川は、事務所のイスに姿勢よく腰を下ろすと、いつも的確な話をした。仕事には、常に真摯に取り組む監督だと野上は思っている。
 しかし、沙織がお茶をいれて来ようものなら、玉川は緊張した態度を顔に表して、彼女と眼を合わせようとはしなかった。頭をちょっと下げただけで、自分から話しかけることもない。おそらく、惚れた女に臆病になっているのだろう。野上はそんな玉川を秘かに応援している。
(明日は雨の予感がする。来週半ばには新たな工事が始まる。その現場監督の玉川は事務所に顔を出すのだろうか。沙織は、内気な玉川との関係に火がつくと、激しく燃え上がるのだろうか──)
 野上の頭に、ラブホテルでの沙織のベッドシーンが浮かんで来た。
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