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恋人岬には噂があった
第3章 第3話 最終章
 楓生コンの広い場内には、ダンプカーが六台並んで停めてある。既に本日の仕事を終えた運転手たちはドライバー室に集まり、最終の仲間の到着をいつものように待っているのだった。
 沙織が、鈴本タイヤの若い運転手と並んで歩いて来る。彼女が手にしているのは、受け取ったタイヤの納品書のようである。二人は話しながら事務所に上がって来た。若い運転手は野上を見た。
「野上さん、毎度ありがとうございます」
 若い運転手はにこにこしている。一緒に歩いて来た沙織は女優のようなルックスなのだ。野上には、彼がにこにこするのも当然だろうと思えた。
「配達ご苦労さん。どう? 冷たい麦茶飲んでいく?」
「はい、いただきます。沙織ちゃんが入れてくれる麦茶なら、僕は何杯でも飲めます」
 事務所のカウンター内に戻った沙織は、まあと言って微笑みながら、三枚組の納品書の上からサインした。納品書などはカウンターの上の箱にしまい、受領書を確認して、楓生コンの印を押すと、お疲れさまでしたと言って彼に渡した。
「ご注文は、冷たい麦茶でしたね」
 伝票を手にして、彼はカウンターの前の長いイスに腰を下ろすと、にこにこして、こくこく頷いている。
 沙織はにっこり微笑んで子機を戻した。そしてノートを自分の机に置いてカウンターをあとにした。

 事務所の裏手から、覚えのあるダンプカーの図太いエンジン音が響いて来る。本日の最終便である。
 ドライバー室で将棋を指していたのだろうか、そのエンジン音に気づいたらしく、仲間のダンプカーの運転手たちが事務所に集まって来た。明日の予定を見ている運転手もいた。
「野上さん、明日は全て連絡待ちですね。天気予報は雨だからな」
 野上を見てそう言ったのは、運転手の中でも年配の矢野だった。顔は強面ふうだが、面倒見のいい男である。
 矢野は、運送会社の社長から配車も任されていた。しかし雨天だと、屋内の工事がない限りは楓生コンに骨材を運んで来る仕事はまずない。それは矢野も野上もお互いに承知していることだった。
「矢野さんたちは砕石場での仕事ですか?」
「うん。チャーターでいつも二台入ってる。あとはおそらく待機で、会社でダンプの整備だよ」
「雨天中止だと、ウチは整備と待機ですよ」
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