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恋人岬には噂があった
第3章 第3話 最終章
 午後四時半近くになって、ミキサー車のドライバーたちや、試験室の三名が事務所の前に集まって来た。皆は何かしら口々に話している。
 タイムカードの前に陣どるミキサー車のドライバーが、明日の予定を眼にしたらしい。明日は待機だから俺はオイル交換だ、と話し声も聞こえる。
 沙織は今日の仕事を終えたようである。机の上を片づけていた。
 タイムカードの時計が四時半になった。タイムカードは次々に押され、お疲れさまでしたと言って皆は事務所を後にして行った。
 野上は更衣室で手と顔を洗うと、着替え始めた。ここには、夜勤のための仮眠室と風呂が設備されてある。しかし、勤め始めてから利用したことは、まだ二十回ほどしかなかった。それにこの部屋もいつも掃除してある。沙織ってほんと几帳面だよな、と野上は関心した。
 着替え終えた野上が事務所に入ると、河合が弁当のジャーを手にして事務所を後にしたところだった。
 野上はいつも通りに自分の物を手にして、タイムカードを押した。事務所を夜間用の明かりに切り替えて、引き戸をロックした。河合は外で待っていてくれた。
 野上より五歳年下の河合は、野上よりも一年ほど遅れてこの楓生コンに採用されている。野上と同様、世代交代のときに入社する機会があったわけだ。河合はちょっとお喋りだが、今ではプラントを任すこともできて野上の良き相棒である。彼は潮崎町の町中から通勤していた。
 駐車場に向かいながら、河合は曇り空を見上げた。
「雲の動きが速い気がする。今にも雨が降りそうですね」
 野上も見上げた。
「うん。俺もそんな気がする。西の空がずいぶん暗くなってる」
 話しながら歩いていると、河合は話題を変えた。
「野上さんは再婚しないんですか? 新婚はいいですよ」
 河合はそう言って、野上に眼を向けている。目が細くなってにやにやしていた。
 河合がそんな顔をするときは、十五歳も年下の女房を自慢したいときだと野上には思えた。だが、話に付き合ってあげることにした。
「新婚三ヶ月の夫婦生活はどう?」
 しかし、野上が訊くと、河合は思わぬことを口にし始めた。
「観音岬のうわさ知ってますか? 恋人岬のことです」
「──そのこと? 知ってるよ。灯台の光のことだろ?」
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