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恋人岬には噂があった
第3章 第3話 最終章
「じゃあ話は早い。俺、知っての通り、結婚に一度失敗してるんです。今度は失敗したくないからって、わらにもすがる思いで呟いたんです……」
 河合が言うには呟いたあと、願い事が叶うときには、トンネル内のオレンジ色の光が飛ぶように、車の後方へ流れていくということだった。
 野上の頭に、奈々と出会ったときのトンネル内の光景が浮かんで来た。噂は信じない野上だったが、あのとき呟いたあと、河合が言うように確かに、光は飛ぶように流れた。
 野上は考えている。あの光は、観音岬からのサインではないだろうか。願いを叶えてやるから心構えしておけということなのか──。
「で、俺の願いは、先々まで結婚に失敗しない女、料理上手な女、年下の女、両親を大切にしてくれる女、俺の子どもを大切にしてくれる女。今のところ、ほぼ叶っているんです。野上さんも試してみてはどうですか?」
 少し聞き逃したが、野上は何となくは聞いていた。それに、自分の願いに比べて、河合の願いはなんて堅実なんだと思った。
「河合は欲張りだな。でも堅実な願いだ」
 と野上は言った。河合は嬉しそうである。
「じゃあ俺も、日が暮れて帰るときには試してみるかな」
 野上は、自分に出会いがあったことは伝えずにそう言った。
 河合は納得したように頷いた。そして、ちらと野上を見た。
「かもめバイパスが開通して二年ですね。うちの近所の丸岡スーパーに、最近若い女の子が土曜日に多く来るんです。沙織ちゃんが言ってたけど、川向こうの松井町からも、噂を知った女の子が願い事のついでに買い物に行くそうですよ。恋人岬のおかげですね」
「えっ、そう? じゃあ、沙織も噂を信じてるってこと?」
 野上は驚いた。沙織なら何もしなくても引く手あまただろうに、と思ったからだ。
「そうですよ。俺が訊くと、彼氏はいないって言うから、教えてあげたんです。トンネル内の光が飛ぶように、車の後方へ流れたときが叶うときだってね」
 と河合は自慢げに言い、野上に眼を向けた。
「野上さん。つき合う相手に沙織ちゃんはどうですか? 彼女の好みは背が高くて、謙虚なな人だそうですよ」
「いや、俺はだめだ。沙織は同僚だぜ? それに齢が違いすぎる。沙織にも選ぶ権利があるってもんだよ」
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