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恋人岬には噂があった
第3章 第3話 最終章
「もう、いやだなあ。最近は同僚とか、年の差カップルは多いですよ。俺の女房も若いし」
 駐車場に向かう二人のそばを、会社を後にするドライバーたちが、お先にと声をかけて通り過ぎていく。野上と河合は、その度に手を挙げた。
「ほら、沙織ちゃんが来ましたよ。俺の勘だと、野上さんのすぐそばに車を停めると思います」
 はたして、河合が言ったように、紗織は野上のすぐそばに車を寄せて停めた。
「河合さん、野上さん、お疲れさまでした」
 紗織が二人に挨拶したそのときである。野上の体を、河合が肘でつっついた。
「紗織ちゃん、丸岡スーパーに行くの?」
 河合は、野上の隣から気軽に話しかけている。野上は紗織と眼が合っていた。胸のボタンはいつもより外してあった。
「今日は行かないです。お買い物は明日の土曜日ですよ。ではお先に失礼します」
 紗織が微笑んだので、野上も微笑んで頷いた。が、河合はまた明日と言って、紗織が車を出すと、ちらと振り向いた。そのあと野上に顔を向けて、クッと笑った。
「ほらね。俺の言った通りです。野上さんは、紗織ちゃんの心理に気づいていますか?」
 野上には、河合の言っていることが、さっぱり分からなかった。
「え? 何が? 心理?」
「もう、野上さんは女の心理に鈍感だなあ」
 と河合は言ってにやにやしている。そして、これは自分が離婚後に週刊誌から学んだことだと言って、女の心理を話し始めた。野上は耳をかたむけた。
「女性が間接的に体を男に近づけるのは、つまり車をそばに寄せて停めるのは、その男を抱きしめたい行動。男の名前を最後に口にして微笑むのは、その男から注目を得たい心理。胸元を開けて露わにする心理は、その男に抱かれたい欲求なんです。つまり、野上さんは紗織ちゃんに惚れられてるってことです。もしかすると、紗織ちゃんは願い事を呟いたあと、飛ぶように流れる光を目撃したかもしれないですね」
 野上は駐車場へ向かいながら、たとえ週刊誌から得た情報だとしても、いまの河合の顔は、遠くを見つめる心理学者のようだなと思った。それに紗織が微笑んでいたことや、胸元まで見ていたことには河合恐るべしだ、と苦笑した。
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