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恋人岬には噂があった
第3章 第3話 最終章
「ふーん、女心を研究してるな。でも紗織は同僚だからな。正門は誰かが半分閉めてくれてるから、俺が閉めていくよ。お疲れ、また明日だ」
「はい。また明日。お疲れさま」

     (二)
 厚い雲が空一面に広がっていた。
 峰川の堤の道を、野上は帰路についていた。河合に女の心理を説かれると、話の的は得ているように思う。男を抱きしめたい行動はどうかなと思うが、胸のボタンを少し外してあったのは、彼女本来の姿だろうとも思う。だが、紗織と眼が合ったとき、瞬間的に彼女がアヒル口をつくったことに、河合は気づいてはいない。
 河合が仮に、紗織のアヒル口を見ていたなら、どんな解説をするのだろう。瞬間的な女の動作に始まり、アヒル口の心理まで説くのだろうか。一度アヒル口の心理も聞いてみたいものだ、と野上はそんな河合を面白く思った。
 ただ、紗織と眼が合ったとき、胸の膨らみがほんの少し見えて色気があった。入社当時よりも色気は増しているように思う。川向こうには隣町の家々が見える。紗織は国道の橋を渡ったころだろうか──。
 生真面目な紗織は性格が良くて、きれいな女だと、野上は思っている。しかし彼女とつき合う相手は俺ではなく、玉川のような男が似合うと思うのだ。
 野上はこのとき、そうだったのか、と直感的に納得できた。河合が言ったように、背が高くて、謙虚な男を考えると、玉川にも当てはまる。紗織は、俺に伝わることを想定して、彼氏はいないと河合に言ったのではないだろうか──。
 紗織が見せたあのアヒル口は、自分からは言い出せない玉川への思いを、俺から玉川に伝えてほしい意思表示だったように思える。
 そして野上にはあと一つ、河合の言葉が気になっている。抱かれたい欲求なのか──。
 いや、それは紗織が、玉川を相手にしたときのことだろう、と野上は思った。
 それに、いつも見ている紗織の性格から察すると、抱かれたいではなく、自ら玉川の上に乗って尻を動かすほうが似合うと思うのだ。紗織は頑張り屋さんなのだ。野上は、今後玉川が楓生コンに顔を出すときがあれば、二人きりにしてみてはどうだろうと考えた。
 ただ、恋愛に関しては他人のアドバイスなどは必要なく、二人に任せておくのが最善だろうとも思える。自然なままが一番だと思うのであった。
 堤の道を抜けると、かもめバイパスの巨大な吊り橋が迫るように、野上の前に見えて来た。
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