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恋人岬には噂があった
第3章 第3話 最終章
「ああ気持ちいい、ああ気持ちいい……」
 と、奈々の尻の動きが大胆になってきた。尻が上下に動く度に、濡れた性器に亀頭が侵入していくのだ。一瞬、尻がぐーっと上がってドスンと落ちた。
「ああ、張り裂けそう。ああ気持ちいい……」
 亀頭はもう見えなかった。野上は、亀頭が抜けなくなるのではないかと思えるほどの、性器の強烈な締まりを覚えている。亀頭を手で強く握られている感覚である。
(──もうちょっと緩くてもいいけどな)
 しかし、この強烈な締まり具合は、あと二、三回までだろうと思う。このとき、野上には試しておきたいことがあった。
「奈々、俺を見て? ほら、こっちを見て」
 呼びかけていると、奈々は気づいた。尻は上下に動き続けている。
 奈々がこっちを見たので、人差し指をゆっくり回して見せた。子どもの頃にトンボの目を回した、あの指の動きだった。
「ほら、こんなふうにお尻を回して? 時計回りでも、逆回転でもいいんだ。お尻を回してごらん?」
 野上がそう言うと、奈々はすぐに理解できたようである。奈々の眼が、壁の明かりを浴びてらんらんと光った。どうやら、やる気満々のようである。
「──んふ。ねえ、これでいい?」
 奈々の尻が、ぐっと回り始めた。
(──なんという尻の動きだ。締まりからして気持ち良すぎる)
「ああ、私、すごくいい。少しずつ中に入って来る。すごく、すごくいいのよ──)
 野上は奈々に抱きしめられている。彼女の尻がぐいぐい回っている。
 ゾーンに入るという言葉があるが、尻を回している奈々は今がまさにその状態だろう、と野上は抱きしめられたままにそう思った。
「ああ、私、変になっちゃいそう。すごくいい、すごくいい……」
 そのとき、奈々の尻が逆にぐっと回り始めた。
(何ということだ。奈々は逆回転もできるのか。しかも、強烈な締まり具合だ──)
 野上は、奈々にまだまだ仕込みたいことがある。だが、もう今夜は遅かった。次回はお口の特訓からだな、と考えている。

     (五)
 この日は夜十時頃になって、野上は自宅にもどった。
 ただいまと言ってダイニングに入ると、由香は二階から下りて来て含み笑いを見せて、お父さんお仕事お疲れさまと言った。どうやら、奈々の話を聞くつもりらしい。
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