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恋人岬には噂があった
第3章 第3話 最終章
 しかし、野上はすぐに浴室に向かった。娘のためにも、奈々を抱いたという証拠を残さないためである。
 脱衣所に入って洗濯機を見ると中は空だった。野上は、脱いだ服に顔を当ててみた。奈々の香りがしている。ドアをちらと見て、服と洗剤を素早く洗濯機に入れて、スイッチを押した。あとは風呂に入れば証拠は消える。完璧だな、と野上は思った──。
 風呂から上がって、パジャマに着替えて野上がドアを開けると、旨そうな匂いが漂っていた。
 由香はテーブルのイスに腰かけて、こっちを見て含み笑い一色だった。
(──由香は、俺が奈々を抱いたことに気づいたのか?)
「明日は私、生け花教室に配達があるのよ。バイトが終わってから、健太と亜紀ちゃんと三人でお爺ちゃんちに行ってくるけどいい?」
(──そのことだったのか。由香は気づいていないらしい)
「もちろんいいよ。晩ごはん食べにおいでって、メールでもあったのかい?」
 野上は、イスに腰を下ろながらにこにこしてそう言った。とりあえず、一安心である。
 由香はご飯をよそって野上に渡した。
「うん。お爺ちゃんからメールがあった。たまには健太たちと出ておいでって。明日の夜、お父さんは?」
「そうだな、お父さんはなにかを温めて食べてから、テレビを観ながら釣り道具の手入れだ」
 野上はそう言った。が、由香は何かに気づいているような含み笑いを見せている。しかし野上は証拠は消したのだ。心に一片の曇りもない。
「ふーん、釣り道具の手入れなんだ。ところで、奈々さんとのお話はどうだった? 付き合うことになった?」
(──やはりそうきたか)
「それがね、彼女とは話が合うんだよ。付き合うかもしれない」
 野上はそう言って、作り笑いを見せた。追求を避けるため、これは旨そうだなと言って箸を出した。
「ふーん。あのね、明日は奈々さんを誘って食事でもしてきたら? お父さんのスマホに着信があったんだよね。ほら見て、ハートマークが付いてる」
 と、由香はくすくす笑って、スマホを野上の近くにコトリと置いた。
「大丈夫。私は読んでないから。すぐに返事してあげたら?」
 由香にハートマークを見られたのである。それはそうだなと野上は思った。
 
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