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恋人岬には噂があった
第1章 第1話
奈々は野菜とカキフライの入った買い物かごを足もとに置くと、携帯ショップでの店員のような態度を見せた。野上を見て微笑み、姿勢よく両手で受け取った。
スマホを渡した野上は、興味深そうに彼女を見ている。
うつむいた奈々が、スマホの画面を見ながら操作し始めた。器用に動くきれいな指だった。胸のボタンが留めてあるので谷間は見えなかった。しかし、若さあふれる体は極上だと思えた。下半身に視線を移した野上は、彼女はどんなふうにパンティを脱ぐのだろうと頭に描いた。
(ベッドのそばで奈々が裸になったとき、ウエストをよじると乳房が弾み、片膝をちょっと曲げて、かかとにかかったパンティを外すときがあるかもしれない。おそらく、男心をそそるくびれた裸体だろう。背丈は百七十に足りないくらいだろうか。髪型と服装で人はずいぶん変わるものだ──)
「はい。完璧ですね」
顔を上げた奈々が、野上を見てそう言った。そして両手でスマホを差し出している。
スマホを受け取るとき、野上は気まずかった。彼女がスマホを調べている最中、指づかいから胸までじっくり観察し、裸体まで想像していたのだ。しかし、奈々は野上を見つめ、見られていたのを知ってか知らずか、気にする様子はなかった。
スマホを買い物かごに入れた野上は、再び奈々と会うきっかけはないかと考えた。齢は親子ほど違うが、彼女の指づかいや初々しい仕草、スタイルの良さ、言葉遣いがあまりにも自分好みだったからである。
「使い勝手のいい新しい機種があれば教えてくれないかな? 俺のアドレス渡しておくから」
そう言って、野上はもう一度スマホを取り出すと、そのカバーから名刺とボールペンを取り出して、その裏に書きこんでいる。
「はい、これ」
「…………」
奈々は名刺を受け取ると、真剣に見ているようである。だが、せっかく書いたアドレスは見もせずに、野上をちらと見てショルダーバッグにしまった。
「はい、分かりました。野上さんの勤め先は、峰川沿いの楓生コンでしたね。このスーパーにはよく来られるんですか?」
奈々はそう言って、野上に眼を向けている。
やはり年の差が影響したのだろう。野上は、アドレスは空振りに終わったなと思った。しかし、目がぱっちりして、魅力的な上目づかいだな、とも思った。
スマホを渡した野上は、興味深そうに彼女を見ている。
うつむいた奈々が、スマホの画面を見ながら操作し始めた。器用に動くきれいな指だった。胸のボタンが留めてあるので谷間は見えなかった。しかし、若さあふれる体は極上だと思えた。下半身に視線を移した野上は、彼女はどんなふうにパンティを脱ぐのだろうと頭に描いた。
(ベッドのそばで奈々が裸になったとき、ウエストをよじると乳房が弾み、片膝をちょっと曲げて、かかとにかかったパンティを外すときがあるかもしれない。おそらく、男心をそそるくびれた裸体だろう。背丈は百七十に足りないくらいだろうか。髪型と服装で人はずいぶん変わるものだ──)
「はい。完璧ですね」
顔を上げた奈々が、野上を見てそう言った。そして両手でスマホを差し出している。
スマホを受け取るとき、野上は気まずかった。彼女がスマホを調べている最中、指づかいから胸までじっくり観察し、裸体まで想像していたのだ。しかし、奈々は野上を見つめ、見られていたのを知ってか知らずか、気にする様子はなかった。
スマホを買い物かごに入れた野上は、再び奈々と会うきっかけはないかと考えた。齢は親子ほど違うが、彼女の指づかいや初々しい仕草、スタイルの良さ、言葉遣いがあまりにも自分好みだったからである。
「使い勝手のいい新しい機種があれば教えてくれないかな? 俺のアドレス渡しておくから」
そう言って、野上はもう一度スマホを取り出すと、そのカバーから名刺とボールペンを取り出して、その裏に書きこんでいる。
「はい、これ」
「…………」
奈々は名刺を受け取ると、真剣に見ているようである。だが、せっかく書いたアドレスは見もせずに、野上をちらと見てショルダーバッグにしまった。
「はい、分かりました。野上さんの勤め先は、峰川沿いの楓生コンでしたね。このスーパーにはよく来られるんですか?」
奈々はそう言って、野上に眼を向けている。
やはり年の差が影響したのだろう。野上は、アドレスは空振りに終わったなと思った。しかし、目がぱっちりして、魅力的な上目づかいだな、とも思った。