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鼻フックパーティーの午後
第2章   
 教えられたマンションの一室につき、僕は緊張しながらドアを開けた。その瞬間、コンビニの入店メロディーが鳴り響いてビックリしたが、それは来客を知らせる合図らしい。玄関にはもう何足もの靴が並べられていて、奥からは、がやがやと人の雰囲気がする。僕も恐る恐る中に入っていった。
 手前には小さいテーブルが置いてあり、ペットボトルの飲み物や紙コップ、お菓子などが並べられている。その脇には一人の女性が座っていて、僕を見て優しくほほえんだ。とりあえずその辺に座って、女性にすすめられたお茶をいただきながら、僕はさらに奥をうかがうように見た。
 そここそが、まさに鼻フックマニアの聖地だった。10人程度の人たちが、真ん中を空けるように座っている。高級そうな一眼レフカメラや、小型ビデオカメラまで用意している人、何かのアルバムを見せ合っている人、手作りらしい鼻フックを披露している人、カップルも一組いた。そして、その人たちの真ん中の位置に、一人の女性が座っていた。和風の下着、いわゆる長襦袢みたいなピンクの薄い服を着ていて、参加者の男性と言葉を交わしている。この女性が本日の主役なのだろう。髪はショートカットで、たとえて言えば、今はやりのアイドルグループの麻里子に似たキュートな雰囲気の子だった。
 話しかけている男性はパーティーの常連メンバーのようで、麻里子や他の客たちに、気さくに声をかけている。一方では僕のように、まだ身体を固くしてこれからの展開を待つだけの人もいる。しかし全員が、ある特定の願望を持っていることだけは確かだった。はやく麻里子が鼻フックで調教される姿を見たい、静かなワクワク感を感じながら、僕は彼らの末席でその時を待っていた。
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