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雨が好き
第112章 桜の雨
【桜の雨】

神社から本当にすぐのところが最初の目的地である見晴台、だった。
そこは見晴台、という名の通り、360度周囲を見渡せる、とても景色の良いところだった。

「すごい・・・」

遠くには青く連なる山々。
眼下にはみずみずしい緑の葉が一面に広がっているように見える。
見上げると空が大きくて、広くって
大きな、大きな世界の中にいるんだなって、すごく感じる。

目を閉じて大きく息を吸うと
森の匂いが身体中に流れ込んでくるように感じた。

「きれいなところですね」
蒼人さんが、ちょっと遅れて私の隣に来た。

どちらからともなく自然と手を繋ぐ。
身体が寄り添い、腕が触れ合う。

こうしていると、この大きな世界を
ふたりじめしているみたいに感じる。

キュッと、握った手に力を込めると、蒼人さんが笑いかけてくる。
そんなふうにして景色を少し見て、
木陰にある石造りのベンチに並んで座って
お昼ご飯を食べた。

「この後は下りが多いですよ」
蒼人さんがスマホの画面を見て教えてくれる。

次の目的地は聖パウロカトリック教会

途中で鏡みたいに空を映すきれいな池を見て、
三笠通りを走り抜ける。
大体30分ほど自転車を走らせると、可愛らしい木造の小さい教会に出会う。
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