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ザ・レイプ 犯された婦人警官
第1章 レイプされた婦人警官
 普通の成人男性との格闘でさえ不安なのに、あの体格の少年と対峙すれば...。智子の中で警察官としての使命感と、一人の女性としての恐怖が交錯する。完也は、制服の婦人警官を異常なまでに執着して、補導されても痴漢・盗撮を繰り返している。

 貸与されたスマホに手が伸びる。応援要請をすべきなのは分かっている。しかし、耳に蘇るのは男性警官たちの嘲笑の声。

「婦警なんて役立たずで、使い物にならない」
「自分の身ぐらい、自分で守れっていうんだよ」

 その声が、スマホに伸ばした手を躊躇わせる。駅前商店街からはパトカーのサイレンが途切れなく聞こえてくる。もう誰も来られない─その認識が、更なる不安を掻き立てる。

 しかし、智子は自分に言い聞かせるように考えた。
─男性警官たちに馬鹿にされたくない。ショルダーバッグには特殊警棒だってある。いざとなったら、防犯スプレーをかけて逃げれば良い。その為に貸与されているのだから─

 その思考さえ、組織の中での立場を気にせざるを得ない弱さの表れだった。だが、その時には気づかない。

 伊藤婦警は、不安を押し殺すように大きく頷くと、少年たちに向かって歩み寄った。

「あなたたち、まだ中学生でしょう?。 煙草なんか吸っちゃ駄目じゃない」

 穏やかを装った声には、かすかな震えが混じっている。二人の少年が意味ありげに顔を見合わせ、完也は煙草の煙を婦警の顔に向かって吹きかけた。

「ゴホッ、ゴホッ」

 咳き込んで目を背けた瞬間。蛇のように素早く伸びた腕が、智子の細い手首を掴んだ。

「嫌ああああッ!」

 喉から絞り出された悲鳴は、杉木立の闇に吸い込まれていく。抵抗する間もなく、トイレの薄暗い空間へと押し込められた智子の背後で、複数の靴音が追いかけて来る。

 この瞬間、一人の警察官が、一人の女性が、そして一人の人間が、地獄の処刑場へと引きずり込まれていく。誰にも気づかれることなく。

「誰か助けて…」

 智子の悲鳴は、喉で凍りついた。トイレの薄暗い空間に引きずり込まれる間際、特殊警棒の入ったショルダーバッグが肩から滑り落ちる。警察官としての武器が、届かない場所へと遠ざかっていく。

 突然、空間がパッと明るくなる。携帯投光器の眩しい光が、智子の網膜を強く刺激する。その光は、朝、交番で浴びた男性警官たちの視線のように冷たく、そして残酷だった。
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