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性に堕ちたアイドルの365日
第24章 十七年前 店長候補とアイドル志望のJK 3
 それからなぜか敦子といつもシフトが重なることが増えた。いっしょになったからといっても会話が弾むわけでもなかった。ただおなじ時間に店にいる。そんなシフトが続いた。そんなある日、秋葉乃が遅番のシフトにはいる予定の日に台風が接近中。遅番のバイトをどうするかどうかで店長と話し合っていたらワタシが残るから遅番のバイトは休ませたらよくない。敦子がいう。基本女子の遅番はない。しかも敦子は女子校生なのだ。
 「わかった。秋葉乃君、前園さんを頼むよ」
 「いやいや」ありえないでしょう。そういったが、ふたりきりで店に残った。
 「ここには店長研修で来てるんでしょ。店長ってふだんどこで働いてるの」それをしってるならなんで店長と呼ぶんだと思いながらも。
 「神無月の横羽目市」
 「すごい近いじゃん」口の利き方もしらない生意気な小娘。でもなぜか語尾のじゃんが心地よく耳に響いた。馬鹿にされてる感はなかった。
 「そうだね」そこで会話は途切れ微妙な空気になるが。
 「なんか話してよ」なにをと思い外を見る。どしゃぶりでゴロゴロ雷が鳴っている。
 「タクシー呼ぶから帰っていいよ」
 「今日夜勤って報告したから」報告どういう意味だ。そういえば敦子はスマホをさっきから弄っている。
 「誰に」店長には前園さんを頼むよといわれた。
 「だから、さくっち」だからもさくっちも意味がわからない。
 「訊きたいことがあったんだけどいい」
 「いいよ」
 「職歴に桜商事所属ってあったけどそれはなに」
 「ワタシが所属してる事務所だよ」
 「所属してる事務所」秋葉乃が首を傾げる。
 「そう。こう見えてもアイドル候補生なの」
 「そういうことか。ならアルバイトの志望動機で社会勉強は、そのために」
 「きまってるじゃん。」なにがきまっているのかわからないが秋葉乃は納得した。
 「デビューは決まってるの」激しい落雷。雨もどしゃぶりだ。秋葉乃は店に出てシャッターを下ろす。
 「すごい、すごい、コンビニってシャッターあるんだ」
 「こんなときに客に来られてもめんどくさいだろ。タクシー呼ぶから今日は帰りな。タイムカード朝に押しとくから」
 「ヤバいヤバい。」なぜか敦子のテンションがあがった。「眠たくなったら帰る。それまで話がしたい」なんの話だ。そう思ったがアイドルが社会勉強でコンビニでバイトをする。それは興味がある。
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