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コンビニバイトの男の子
第8章 密談

文字を見た瞬間、貴之の心は絶望に覆われた。力の抜けた手からスマートフォンが滑り落ち、テーブルに当たって派手な音を立てた。驚いた近くの客が貴之の方を注目してきたが、取り繕う気も起きずに両手で顔を覆いがっくりと頭をテーブルにつけた。
(シュウが、鮎川君と、セックスをした。僕の妻が、あいつと・・・)
貴之は、今更ながら二人を結びつけたことに激しく後悔した。願望だったことなどすっかり消えていた。
しばらくそうしていたが、やがてゆるゆると体を起こした。
(いや、まだだ。童貞のやつのことだ。失敗したのを、見栄を張って嘘ついている可能性もある。隠しカメラの映像を見るまではわからない)
往生際が悪いと思いながら、一縷の望みにすがりたかった。
冷えきったコーヒーを飲み干すと、もう 1度スマートフォンを取り上げた。開いたままのメッセージアプリを見て、悠希に既読通知されていることに今更ながら気が付いた。
(何か、返事しないと・・・)
悠希に対して怒り、嫉妬、絶望、疑念、蔑みなど様々な感情が渦巻いた中、勝ったのは大人として余裕を見せたいという、ちっぽけなプライドだった。
《星野貴之:ありがとう。気を付けて》
悠希に淡々とした内容のメッセージを返信すると、すぐに既読表示された。萩子にもいつもの帰宅メッセージを送ると、喫茶店を出て家路を急いだ。途中何度かスマートフォンを確認したが、いつもとは違い未読のままで萩子からの返信はこなかった。
(シュウが、鮎川君と、セックスをした。僕の妻が、あいつと・・・)
貴之は、今更ながら二人を結びつけたことに激しく後悔した。願望だったことなどすっかり消えていた。
しばらくそうしていたが、やがてゆるゆると体を起こした。
(いや、まだだ。童貞のやつのことだ。失敗したのを、見栄を張って嘘ついている可能性もある。隠しカメラの映像を見るまではわからない)
往生際が悪いと思いながら、一縷の望みにすがりたかった。
冷えきったコーヒーを飲み干すと、もう 1度スマートフォンを取り上げた。開いたままのメッセージアプリを見て、悠希に既読通知されていることに今更ながら気が付いた。
(何か、返事しないと・・・)
悠希に対して怒り、嫉妬、絶望、疑念、蔑みなど様々な感情が渦巻いた中、勝ったのは大人として余裕を見せたいという、ちっぽけなプライドだった。
《星野貴之:ありがとう。気を付けて》
悠希に淡々とした内容のメッセージを返信すると、すぐに既読表示された。萩子にもいつもの帰宅メッセージを送ると、喫茶店を出て家路を急いだ。途中何度かスマートフォンを確認したが、いつもとは違い未読のままで萩子からの返信はこなかった。

